「運転資金?or設備資金?」お金の使い道と返済根拠は示せるようにしましょう!

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「運転資金」返済原資は示しやすいが、資金用途を説明できるように!

銀行融資を申し込む際には「何のために、いくら」(資金使途)必要なのか、そして、借りたお金は「返済できるのか」(返済原資)を根拠資料をもとに、金融機関の担当者に説明できるようにしておかなければいけません。

単に、赤字による資金不足のために資金が必要という説明では難しいです。なぜなら、赤字であれば、基本的に返済原資となる「お金」がないからです。

銀行融資における「何のために、いくら」にあたる資金使途については、「運転資金」「設備資金」にわかれます。そして「運転資金」については、その使途によってそれぞれ以下のように分類されますので、運転資金の基本的な特徴とともに、それぞれの特徴を押さえていきましょう!

【運転資金の基本的な特徴】

返済原資説明がしやすい(根拠となる利益があがっていれば)
資金使途説明がむずかしい(経常運転資金? 増加運転資金? 納税・賞与資金? 季節資金?)

「経常運転資金」とは?

一部の現金商売の業種を除いて、現状、多くの取引は掛によって行われます。商品を掛で仕入れ、在庫を販売して、掛代金を回収するというサイクルが繰り返されますが、この過程では、どうしても入金までにタイムラグが生じます。

ただ、入金がない間にも、人件費やその他経費の支払いはあるため、売上代金を回収するまで事業を継続するためのお金が必要になります。このつなぎ資金のことを「経常運転資金」といいます。

大規模な業種転換や大幅な事業拡大などがなければ、この経常運転資金はほぼ一定です。必要な経常運転資金は把握し、手もちの現金預金が不足していれば、融資を受ける目的は「経常運転資金」となります。

「増加運転資金」とは?

上記の通り、経常運転資金はほぼ一定ですが、予測を超える急激な売上の増加があったり、入金・支払サイトを変更したり、在庫や債権の回収が遅れたり・回収不可になったりすると、通常の経常運転資金を超えるお金が必要になることがあります。

この経常運転資金を超える部分が「増加運転資金」です。

売上が増加するのは一般的にはよいことですが、最悪黒字倒産にもつながりかねないため、増加運転資金の前もって予測し、経常運転資金を圧迫しそうであれば、「増加運転資金」分の融資を受けることを検討しましょう。

「納税資金、賞与資金」とは?

税金の納税や賞与の支給などは、会社から一時的に多額のお金を失わせます。
ちょうど納税時期に多額の売掛金の入金があったり、賞与支給時期を相当の入金がある時期に設定していれば問題ないですが、増加運転資金と同様に、経常運転資金を圧迫してしまうと危険です。

「季節資金」とは?

季節資金とは、その名の通り、季節変動がある業種の場合、繁忙期前には、通常よりも仕入を増やすなど他の月よりもお金が必要になります。この場合にも、通常の運転資金を圧迫してしまうのは危険なため、「季節資金」分の融資を受けて対応します。

「設備資金」資金用途は示しやすいが、返済原資を説明できるように!

「設備資金」とはその名の通り、土地建物、機械、車両、ソフトウェアなどの設備を購入するためのお金です。

【設備資金の基本的な特徴】

返済原資説明がむずしい(設備の導入は、今後、売上・利益増にどう影響するのか?)
資金使途説明がしやすい(購入予定資産の金額を見積書などを根拠として示すことができる)

設備資金については、「何のために、いくら」必要なのかという資金使途については、当然、把握できますし、購入予定資産の見積書などで根拠を示すこともできるため、金融機関の担当者に説明もしやすいです。

一方で、設備投資はその効果が一時的に表れるものではなく、長期間渡り会社の利益に貢献する(はず)のものであるため、購入予定の資産の購入のために投下するお金をちゃんと回収し、返済原資に充てられるのか「事業計画」等の資料を作成して説明できるようにしておかなければいけません。

設備資金として融資を受ける場合、基本的に融資が実行された後に、その融資されたお金をもって設備を購入しなければいけません。そのため、設備導入時期から逆算して、少なくとも2~3ヶ月前迄には、融資を受けるために動き始める必要があります!

資金使途と異なるお金の使用は金融機関からの信頼を失うので絶対NG

運転資金と設備資金の融資で気をつけるべき点は、運転資金として融資を受けたお金を、設備資金として使用することはできますが、反対に、設備資金として融資を受けた金額を、運転資金として使用してはいけない、ということです。

設備資金として融資を受けた方が、運転資金として融資を受けるより、返済期間が長くなったり、金利面でも優遇を受けることができることもあります。だからといって、設備資金をして融資を受けておいて、そのお金を運転資金として使用してしまうと、以下のような事態になりかねません。

  • その事実が発覚した以降、融資が受けられなくなる可能性がある
  • 本来の融資目的(設備資金)以外に使用したお金の返還を要求される可能性がある

金融機関は「融資をしたお金がどのように使われているか」については当然モニタリングして把握しています。一度失った信頼を回復するのは極めて困難なので、意図的に金融機関をダマすような行為は絶対にやめましょう!

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