資金繰り実績表を自社で作ってみよう!「01.資金繰り表の必要性と作成準備」

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大事な経営資料だが「資金繰り表」を作成している会社は意外と少ない

会社経営(個人事業主の事業も同様)において、一番大切なのは、何をおいても「お金」です。

そのため、現時点での現預金の残高を把握し、将来の残高を予測しておくことは必須ですが、この現預金の動きは、試算表(損益計算書や貸借対照表)では分からない部分が多いです。

なぜなら、試算表で分かるのは、実現主義・発生主義という会計のルールに従って作成される会計上の利益であり、実際のお金の出入りとはタイミングが異なるためです。

実現主義→物の引渡し・サービスの提供し、収益が実現した時点で売上を計上する
    ※売上計上と入金の時期がズレる
発生主義→物の引渡し・サービスの提供を受けた事実によって費用を計上する

    ※原価・費用計上と出金の時期がズレる

そこで、お金の流れを表すのに特化した「資金繰り表」の出番です。

「資金繰り表」は、経営判断にも役立つだけではありません。融資申し込みの際にも、返済原資があることの裏付けとして、申告書や事業計画などとともに、金融機関から提出を求められることが多いため、普段から作成しておけば、書類提出直前になってあたふたすることがなくなります。

しかし、実際に資金繰り表を作成している中小企業・個人事業主は、思いのほか少ないのが現実です。

自社(自身)で作成してこそ「資金繰り表」を活かすことができる理由

「資金繰り表」と聞くと「経理・税務関係の知識がないと作成するのが難しいのでは?」という印象を受けるのが、資金繰り表の作成に一歩踏み出せない原因かもしれません。

しかし、税務署等に提出する決算申告書類(ex)損益計算書、貸借対照表 etc)など、法的に作成が求められている書類とは異なり「こう作らなければダメ!」という決まった書式がある堅苦しいものではありません。

Googleにて「資金繰り表 テンプレート」で検索した結果

例えば、ネットで資金繰り表のひな形を検索すると、Excelで作成された様々な資金繰り表がヒットします。でも、基本的な作りはどれも一緒。試しにどれかダウンロードし、Excelで開いてもらうと分かりますが、原理は、ご家庭の家計簿と同じで単純なものです。

お金が入金したら入金項目に、お金を出金したら出金項目に金額を記載するだけ。つまり、資金繰り(実績)を作成することに関しては、簿記の知識は無くても問題ありません。

確かに、公認会計士事務所や税理士事務所等と税務顧問をしていれば、資金繰り表の作成も丸投げできるかもしれません(顧問契約の業務範囲に資金繰り表の作成を含めていないケースは多いので、料金は別途になる可能性はあります)が、できれば、自社で作成することをオススメします。

その理由は、以下の2点です。

  • 資金繰りは、業績以上にリアルタイムで把握してこそ意味があるので、会計事務所等に依頼すると、どうしてもタイムラグが生じてしまう(資料として古くて経営に活かせない)。
  • 自社(自身)で作成していないと、資金繰り表の見方・活用方法が分からない(腑に落ちない)し、他人(主に金融機関等)に資金繰り表を使って説明ができない。

まずは「資金繰り実績表」を作成するためには何が必要か?

資金繰り表は、大きく分けると種類が2つあります。

資金繰り表の種類資金繰り表の活用方法
資金繰り実績
(過去のお金の動きの実績を集計)
収支実績を元に経営収支の実態を把握し、
今後の改善につなげる
資金繰り予定
(将来のお金の動きの予定を集計)
将来の収支予定を見越した経営判断及び
実行の指針となる

どちらが一方が必要というわけではなく、実績表予定表、どちらも必要だし、どちらも作成すべきです。ただし、資金繰り予定表は、将来の売上、原価・費用の見込み、設備投資の計画、新規融資の予定・返済計画など、将来の事業計画を元に、資金繰り表に各金額を落とし込み作成していくものなので、いきなりはハードルが高いかもしれません。

そこで、まずは「資金繰り実績表」を自社(自身)で作成・運用し、慣れてきたら「資金繰り予定表」もあわせて作成するようにする、と段階ごとに進めていくとよいでしょう。

上の画像は、ごくごく単純な資金繰り実績表のフォーマットですが、基本的に月単位で金額を集計・入力し、事業年度単位で完結しているものが多いです。ただし、初めてExcelで資金繰り表を作成するのであれば、自社のお金の入出金タイミングを把握するためにも、一日単位の資金繰り表を作成し、月単位で集計したものを、月単位の資金繰り表に転記する仕組みにしてもよいかもしれません。

「資金繰り実績表(日・月単位)」のExcelフォーマット → コチラ

↑日繰りの資金繰り表を月単位の資金繰り表の転記する資金繰り表をExcelで作成してみました。項目の追加、修正などカスタムしやすいように、数式は加算減算のみの単純な作りにしております。

【資金繰り実績表を作成するために準備すべきもの】
・資金繰り表(Excel)
・預金通帳【紙】又はネットバンクの入出金履歴【データ】
・現金出納帳(現金管理をしている場合)

資金繰り実績表のフォーマットがあれば、あとは、現預金の入金・出金の履歴が分かる資料があれば作成できます。

次回は、資金繰り実績表ひな形を使って、資金繰り表の各項目について、解説させていただきます。

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