融資実行までに時間はかかるけど好条件な「マル経融資」について

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マル経融資の概要

以前の投稿で、金融機関から融資を受ける際には、民間の金融機関だけでなく、政府系の金融機関である日本政策金融公庫からの融資についても検討すべき理由を書かせていただきました。

日本政策金融公庫は、民間の金融機関が取り組みにくい案件も取り扱っていますが、マル経融資も条件に該当する法人、個人事業主の方であれば検討していただきたい融資制度のひとつです。

マル経融資とは、正式名称を小規模事業者経営改善資金制度といい、公庫の部署のなかで小規模事業者や個人事業主の方への融資を担当する国民生活事業が行っている融資です。

【マル経融資の主な特徴】

融資限度額2,000万円
返済期間運転資金 7年(据置期間 1年以内)、設備資金 10年(据置期間 2年以内)
担保・保証人不要(保証協会の保証も不要)
利率1.23%(特別利率F) ※R4年4/1時点

マル経融資の融資条件の主な特徴は上記の通りですが、特徴的なのは、担保・保証人が不要であり、さらに保証協会の保証も不要であるかわりに、申込にあたって、商工会議所会頭又は商工会会長等の推薦が必要になる点です。

「商工会の推薦?」と不思議に思われるかもしれませんが、これは、マル経融資を利用できる方の条件に係わってくるためです。

マル経融資を利用できる事業者の条件

マル経営融資はすべての事業者が利用できるわけではありません。主な利用者条件は以下の通りです。

  • 従業員数20人(商業・サービス業は5人)以下の法人・個人事業主であること
  • 最近1年以上、経営指導を受ける商工会議所の地区内で事業を行っていること
    つまり、創業融資や創業後1年未満の方は使えません。創業資金は「新創業融資制度」「新規開業資金」で対応
  • 商工会議所等で6ヵ月以上の経営指導を受け、事業改善に取り組んでいること
    この経営指導を受けることにより、商工会議所等からの推薦をうけることができます
  • 税金(所得税、法人税、事業税、都道府県民税等)を完納していること
    納税証明書等の提出が必要
  • 公庫の融資対象となる業種であること
    農林漁業、金融保険業、一部の風俗営業、公序良俗に反するもの、投機的なものなどは対象外

税金の滞納がない点や、一部の業種が対象外になる点は、他の融資制度でも同様ですが、商工会議所や商工会で経営指導を6ヵ月以上受けるというのが特徴的です。

手続きの流れとしては、まず、事業所が所在する地区の商工会・商工会議所に連絡をし、マル経融資制度を利用したい旨を伝えます。その後、経営指導員による指導を受け、原則6カ月後に、経営指導員が商工会・商工会議所に報告をあげます。
その報告を受けて、商工会・商工会議所で審査後に公庫に推薦をし、公庫での審査が通れば、融資が実行されます。

手続き自体はシンプルなのですが、制度上、経営指導が原則6ヵ月以上となっているため、経営指導が実施されてから実際に融資が実行されるまでは、どうしても7ヵ月ほどかかってしまうのがデメリットではあります。

ただ、無担保・無保証人で信用保証協会の保証も不要。金利は変動しますが、2022年4月1日時点で1.23%(3/31以前は1.21%)とかなりの低利、と条件は良いので、資金的に半年以上も待てないという事業者以外は、是非、資金調達の選択肢としてマル経融資もご検討ください。

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