この章で1つだけしか取り上げられないとしたら、この項目を忘れないでください。
孤立しないでください。
他の人に助けを求めてください。
恥ずかしがって孤立したり、暗に、あるいは公然とBPDをもつ人にそうなるよう脅かされたりするようなことがないようにしてください。
そんな生活は、人間の生活ではありません。
『境界性パーソナリティー障害ファミリーガイド』P150より
本書を読み進めている時、上記の言葉が目に入った瞬間、突然、自分の中の感情が溢れ出し、ありえない程の涙がでてきました。危なかったです、外出中に読んでいたら、周りの人にきっと驚かれたところでした。
もし、僕と同じように、上記の言葉に反応してしまったのなら、あなたは本書を読んだほうが良い人なのかもしれません。
BPDの人を支え、悩み、対処方法を知りたい方のための書籍
当ブログでは、何冊か自分が読んだ本を紹介させていただいておりますが、特になにかしがらみがあって紹介しているわけはありません。単純に良かった、ためになったと思うモノをシェアできればと思い、拙い文章力と格闘しながら、なんとか文字を紡ぎ出しているしだいです。
ただ、本書に関しては万人向けの書籍ではありません。
本書の内容を引用させてもらいながら、今までも何回か『境界性パーソナリティー障害』(BPD)という病気、そしてその障害を抱える人の周りにいる身近な人たち(Non‐BP)について、思うことをつらつらと書いておりますが、本書は、BPDの人を支え、そしてBPDの行動に悩み、対処方法を知りたいという人たちのために書かれた書籍です。
著者のランディ・クリーガーさんは今回紹介させていただく『境界性パーソナリティー障害ファミリーガイド』の前に、BPDの家族に対する著書を2冊出版しているだけでなく、Webサイト『BPDセントラル』(英語)を主催しているなど、Non-BPを支える活動を続けている方です。
1作目の『境界性人格障害=BPD―はれものにさわるような毎日をすごしている方々へ』も衝撃でした。
自分の置かれている状況が特殊なわけではなく(一般的に見れば状況は特殊なのですが…)、同じような状況で悩んでいる人たちがいるんだ、ということを知ることができただけでも助けられました。
BPDの人を支えるためにば、まずはBPDについて知ることが大切
本書も1作目の内容をアップデートしたような内容になっており、ノンボダの人たちにとっては必見の書籍だと思います。
前半の第1部<1~6章>では、
BPDとは何なのか?
BPDの人の行動の特性とは?
BPDの治療方法とは?
セラピストの探し方は?
などといったBPDについての知識について学びます。
そして、後半の第2部<7~11章>では、BPDから身を守り、自分らしく生きるための5つのパワーツール、具体的には、
パワーツール1:自分自身を大切にする
パワーツール2:行き詰まり館の原因を明らかにする
パワーツール3:理解されるように伝える
パワーツール4:愛情をもって境界を設ける
パワーツール5:適切な行動を強化する
を学びます。
BPDのことに限らず、何事もまずは、敵を知ることが大事ですよね。だから、BPDの人を支えようと思っているのであれば、BPDのことを知ることがまず第一歩だと思います。
理論武装しても実践するのは難しい!(体験談)だとしても…
そして、本書で学べることは、自分自身を守るために、非常に重要なヒントを与えてくれます。ただ一点残念なことは、別に本書のせいではないのですが、学んだ知識を実践し効果を感じるのは、難しいかもしれない…、ことです。
なぜなら、BPDの人のほうが、たいてい僕らより数倍上手だからです。
実際、僕も実践しようと試みては、失敗し、再度試みては失敗し、そして潰れてしまったわけで…。
そもそも、プロである医者やカウンセラーもBPDの患者は診察をすることすら避ける(本音はBPD関わると大変だから、だと思います)くらいですから、素人の僕らが上手く実践するのは難しいのは当たり前。
ただ、それでもBPDの人を支えようと思ったら、何度も本書を読んで、技を覚え、空で何度も練習(友達などに相手になってもらうとよいのかもしれません)し、(役者のように)上手くできるようになる必要があると思います。
冒頭の文章のように、悶々と一人で悩んでいると、絶対に破滅します。
まずは本書のような良著で知識を得ること。知識を得るだけでも、随分と気持ちが開放されます。そして、その次は仲間を得ること。これはノンボダの家族会に参加してみるといいと思います。
僕も数回参加させていただいた経験がありますが、随分と気持ちが楽になりました。
『自分と他の人を傷つけてしまう人たちのためのファミリーサポートグループ(旧名:BPD家族会)』のHP → コチラ
とにかく、繰り返しますが、一人で悩んじゃダメですよ。
ヤバいと感じたら、お医者さん、友達、家族、とにかく誰かに危険信号をだしてください!