【実録】凡人が働きながら、5科目合格を目指すのは本当に大変だった
税理士になるためには、通算2年の実務経験と、資格とし
①税理士試験5科目(会計2科目、税法3科目)に合格
②税理士試験の一部科目合格+大学院に進学し一部科目免除
③弁護士、公認会計士、税務署に所定の年数以上勤務
などの方法があります。
自分の場合、最初に受験を決心した時点で年齢は30歳オーバーで、貯金ほぼゼロ。それまで一般企業を転々としていた状態で、しかも当時無職、という低スペックだったため経歴的に③は問題外。②も金銭的に不可能。①しか選択肢がありませんでした。
そこで試験勉強開始前に立てた当初の目標は「3年で官報合格!!」でしたが…、
結果は、「9年で免除合格」でした。
※最後の年に2科目受験するため1科目免除申請したため、官報には載っていません。
年齢的に遅めのスタートであれば、大学院で一部科目免除の選択肢があっていい
プロフにも記載しておりますが、元々、税理士を目指していたわけでもなく、30歳を超えて精神的にも若干病んでいた時期に、立ち直るキッカケとして、当時税理士をしていた叔父の薦めも相まって、受験を決意した程度。
1年目は2月半ばに3科目で勉強をスタート(無知ゆえの無謀…)。当初から金欠だったので、受験に専念する意図はありませんでしたが、転職活動は1年半以上、お祈りされ続け、結果的には受験専念となりました。
3年目以降は、会計事務所に勤務しながら受験に挑戦し続けましたが、働きながら、合格を目指すというのは、想像以上に困難なことでした。
自分には金銭的に不可能でしたが、もし、金銭的に大学院に通えるお金を捻出できるのであれば、大学院で税法科目の免除を受ける選択肢は全然ありです。
大学院に通学し、論文を書くのも決して楽ではないでしょう。しかし、年1回の一発勝負の試験で合格できるかどうかという不確実性と比較すると、特に、僕のように、歳をいってから税理士を目指していらっしゃるかたは、確実性が高い大学院という方法は選択肢にいれていいのではないでしょうか。
試験合格組でないと、実務的に苦労するという話も聞きますが、試験で合格したって、試験勉強だけで実務の全てをカバーできるわけではありません。この仕事を続けていく限り、合格後も勉強はし続けなければいけませんし。それならば、税理士になるための過程はどんな方法でも構わないと思います。
小規模の会計事務所の勤めるメリット・デメリット
働きながら試験勉強とするとなると「どんな会計事務所に勤務するのが有利か?」という問題があります。これについては、規模による有利不利の比較は難しいですし、面接でどんなに印象がよくても、実際に働いてみないと実情は分かりませんし。
自分は規模の大きめな会計事務所に勤めた経験がないので、小規模の会計事務所の実情しかお伝えできませんが、世間的なイメージ通りというか、小規模の会計事務所では、ひとりで顧問先を担当するケースがほとんどです。
このひとりで担当するというのは一長一短で、小規模な会計事務所では、前任からの引き継ぎを満足に受けることができないことが多いため、転職1年目は、事務所独自の仕事の進め方(これが結構厄介)があり、また、すべてが自分にとっては新規のお客様になるため、自分のペースで仕事の段取りをつけにくく、結果として残業が多くなる可能性があります。
一方で、チームで働くのとは違い、ある程度裁量が大きいため、工夫次第では、残業を回避して、勉強時間を確保することも可能です。さらに転職2年目からは、1年目の蓄積があるので、飛躍的に業務が進めやすくなります。
職場環境が自分に合えば、税理士試験に挑戦中は、事務所規模の大小問わず、同じ職場にいたほうが、勉強時間の確保という観点では有利かもしれません(自分は短期間でコロコロ職場をかえて苦労したので)。
働きながらであれば受験科目は1科目絞るべきか? 複数科目で攻めるべきか?
税理士試験は科目により、勉強範囲のボリュームが異なります
ゆえに合格レベルに達するまでに必要とされる平均勉強時間も異なり、一般的に、最も範囲が狭いとされる国税徴収法や酒税法などのミニ税法は約100時間、反対に、最も範囲が広いとされる法人税法や所得税法は600時間と差があります。
しかし、平均勉強時間が短いミニ税法だから合格しやすいというわけでは決してありません。
結局、各科目の合格率は10~15%程度ですし、平均勉強時間が短いということは、より多くの受験生が受験当日には合格レベルに達しているため、1問も落とせないような高いレベルでの競争になります。
働きながら、2科目以上受験するというのは前述のように、正直、しんどいです。
ボリュームの重い科目とミニ税法の組み合わせたとしても、平日に講義を受けるなら、週に3~4日、週末に受けるとしたら、土日が講義だけでつぶれることになります。当然、復習等に講義以上の時間を要するので、毎年確実に1科目ずつ合格していったほうが、2科目とも中途半端で共倒れになるよりは、いいと思われるかもしれません。
自分もこの考え方により、勉強期間1年間を通じて会計事務所に勤務していた年は、1科目に絞った年のほうが多いです。しかし、結果として、1科目に絞った年は、すべて不合格に終わっています。
もちろん、1科目に絞ったのが全ての原因というわけではありませんが、1科目に絞って不合格になった場合、その1年間、全く「合格」というゴールに近づけていないことになります(これはかなり精神的にダメージを受けます)。
それもより、2科目合格を狙うことをまず前提とした上で、勉強時間を確保するために仕事の効率化を検討したり、職場環境が悪ければ転職を検討したりする。そして、できれば1年に2科目、だめでも1科目は合格をもぎ取って一歩でも前へ進めたほうが、短期合格を目指すモチベーションは保ちやすいかもしれません。
合格まで9年かかっても合格を諦めなかった理由
4年目の試験勉強の途中には、大切な人が亡くなったこともあり、正直、その年はまともに勉強ができる精神状態でもなく、その後、税理士になること自体意味があるのかどうか迷った時期もありました。
なんとかその迷いを乗り切れたのは、色々と不満は言われましたが、応援してくれた亡き大切だった人のためという想いと、会社組織で働くことがめちゃくちゃ苦手な自分は、結局は、税理士試験に合格して開業するしか道がないと改めて思ったからです。
では、実際に、開業してみてどうだったか?
順風満々にことが進んでいるかというと決してそうではありません。でも、今は以前よりも楽しく仕事ができています。
ただ、一方で試験勉強で9年もの時間を費やしてしまったことだけには、激しく後悔しています。
現在、税理士を目指して勉強されている方は、是非、この記事を反面教師にし、1年でも早く合格を掴み取ってくださいね。