源泉所得税の「納期の特例」制度とは?
会社の役員や従業員に役員報酬、給与、賞与等を支払う際、社外の弁護士や税理士等の士業関係者に報酬を支払う際に額面金額から差し引く源泉所得税は、原則的には、支払った月の翌月10日迄に納税しなければいけません。例えば、
6月25日に支給した給与等に係る源泉所得税→翌月の7月10日が納付期限
給与等の支払いは毎月やってくるものなので、当然、納付期限も毎月やってきます。
大きな会社で事務担当者がいれば、気にならないかもしれませんが、1人が同時に様々な業務をこなさなければならない小規模な会社やフリーランスの方にとって、毎月期限が決まって生じる手間は、少しでも減らしておきたいもの。
そこで是非活用していただきたいのが、源泉所得税の納付を毎月から年2回へ減らせる「納期の特例」という制度。給与の支払人数が常時10人未満の事業者限定ですが、「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」という書類を所轄の税務署に提出すれば、提出した月の翌月支払い分から適用され、納付回数は下記のとおり、年2回になります。
・1月から6月分の源泉所得税→7月10日が納付期限
・7月から12月分の源泉所得税→翌年1月20日が納付期限
申請手続きはe-taxで!
申請書の提出は、e-tax又は書面を郵送もしくは税務署へ持参する方法で提出することができます。
ただ、書類を手書きして、郵送の準備をして、ポストに投函してなんて面倒ですし、税務署へ直接持参するのもこのご時世リスクがあります。
e-taxでちゃっちゃと作成して、送信! これが一番簡単ですし、おすすめです。
●国税庁HP
[手続名]源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請
特例の適用を受けるメリット
・納税に係る手続きが毎月から6ヶ月に1回になるので事務処理を軽減できます。
(うっかり納税を忘れて不納付加算税や延滞税が課されたらもったいないです)
・特例の場合、源泉所得税を預かってから、実際に納付するまで期間があくので、使い方によっては資金繰りが良くなる効果もあります。
・顧問税理士がいる場合、給与報酬の集計、納付書(電子納付のための書類)の作成は顧問契約に含まれていることが多い(会社としては納税の手続きのみになる)。
逆に、原則の場合は、顧問契約に含まれていないことが多い(月末から納付期限まで時間がないことも一因)
特例の適用を受けるデメリット
デメリットとまでは言えませんが、6ヶ月分まとめて納付することになるため、納付額が高額になることもあります。資金管理をしっかりしておかないと、納期限の際に納税資金がない!なんて事態も…。
特例の適用を受ける際の注意点<落とし穴に注意!>
・個人のデザイナーさんやカメラマンさん等に報酬を支払う際に控除する源泉所得税はこの特例の対象外です。原則どおり、支払った翌月の10日までに納付しないとダメです!
・申請書の提出月の翌月分から適用されます。例えば、7月15日に申請書を提出した場合には、7月分迄は原則どおり、翌月8月10日までに納付しないとダメです!
・給与の支払人数が常時10人以上に増えた場合には、特例は使えません(しれっと特例を継続している会社もないとは…)。
その場合には「源泉所得税の納期の特例の要件に該当しなくなったことの届出書」を税務署に提出はする必要がありますので、お忘れなく!
・対象期間に給与等のお支払いが全くなかった、年末調整還付金が納付税額以上あった等の理由により納付税額が0円になるの場合でも、申告書だけは提出しないとダメ。
納付税額がない場合、銀行等の窓口では受付てくれませんので、税務署へ郵送又は持参、もしくはe-taxでも提出ができます。申請書の提出と同様、e-taxを利用してサクっと送信して終わらせましょう。