将来独立を考えている人へ「そのiDeCo加入、ちょっと待った!」

iDeCo加入

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2022年10月以降、会社員のiDeCo加入がさらにお手軽になる

法律の改正により2022年10月以降、会社員の「iDeCo(イデコ)」に加入の際の条件が緩和され、さらに加入がしやすくなります。

改正前 改正後
企業型確定拠出年金(企業型DC)に加入している場合、
会社の規約でiDeCoの併用が認められている必要がある
加入者本人の意思だけで加入することが可能になる
企業型DC加入の有無にかかわらず、加入手続きの際に、
会社から「事業主証明書」を発行してもらう必要がある
「事業主証明書」の提出が不要になる

現状でも加入自体はできるのですが、事前に会社に確認したり、書類をお願いしたりする必要があるため、加入はしてみたいけど、つい躊躇していたかたもいらっしゃると思います。

2022年10月以降は、「事業主証明書」の提出も不要になるので、これを機会に今後「iDeCoに加入をしようかな」と考えるかたが多くなることが想定されます。

ごり押しされている感があるiDeCo加入のメリットとは?

現在、公的年金の支給開始年齢は65歳ですが、今後は更に70歳になる可能性だってありますし、また、公的年金だけで老後の生活をまかなっていくのも厳しいかもしれません。いち時期話題になった『老後2,000万円問題』が的を得ているかはともかく、国だけに頼るだけでなく、個人でも老後資金を蓄えておくべき、という流れは今後も変わらないでしょう。

その流れを国も後押しべくiDeCoについては様々な優遇措置がありまが、税金面では以下のようなメリットがあります。

時点 メリット
掛金支払時 掛金の全額が「所得控除の対象」になるため、掛金を支払続けている間は、毎年、
所得税と住民税の節税効果がつづく
運用時 通常、株式等の運用益は20.315%の税金がかかるが、iDeCoの運用益は非課税となり、
利益は元本に繰り入れられ継続して運用(再投資)される【複利運用】。
受取時 一時金→退職所得(他の所得と比べて控除額が大きいため、差引かれる税金が非常に少なくなる)
分割金→雑所得(他の年金と合算して公的年金等控除の対象になるため、税金が抑えられる)

会社員の場合、節税対策といっても、やることがほぼないため、「ふるさと納税」のように「節税になる!」という謳い文句には、魅力的に感じるかもしれません。

将来独立を考えている場合、加入前にデメリットも意識すべき

一方、iDeCo最大のデメリットといえば、拠出した掛金は、原則60歳になるまで引き出せないことです。※iDeCoでの掛金拠出期間が10年以下の場合、最大65歳(2年未満の場合)からになる可能性あり

そもそも「老後資金をためる」ための制度のため、当然といえば当然ではあります。
しかし、以前に比べて、人の働き方も変わってきています。生涯、会社員として働くのではなく、将来的にはフリーランスとして又は会社を作って独立を考えているかたもいらっしゃるでしょう。

iDeCoに一度払い込んだ掛金は「将来使えるお金」ではありますが「必要なときにすぐ使えるお金」ではなくなってしまいます。

業種にもよりますが、開業準備にはある程度まとまったお金が必要になることが多いですし、事業が軌道に乗るまでの間は、自由に動かせるお金が少ないと精神的にも不安なものです。

将来、独立を考えているかたであれば、目先の節税には目を瞑り、まずは、iDeCoに加入して掛金を払い込んでいても、独立のために必要なお金を貯めることができるかどうかを検証し、そのうえで、お金に余裕があれば、iDeCoの加入を検討するという順番がよいのではないでしょうか?

将来の備えは独立して資金繰りが安定してからでも遅くはない

確かに将来のお金の準備は、早く始めれば始めるほど、貯蓄額は増える可能性はあります(iDeCoの場合、運用次第で損する可能性もありますが)。

ただ、独立すれば、フリーランス(又は会社の社長)ならではの老後資金を積み立てる方法がiDeCoの他にもあります。

例えば「小規模企業共済」は、フリーランス(個人事業主)や小規模事業者の経営者・役員が加入し、廃業や退職した際の「退職金」を積み立てる共済制度ですが、掛金は、月額1千円~7万円の範囲内(500円単位)で自由に選択ができ、iDeCoと同様、全額が所得控除の対象になります。

↓「小規模企業共済」については、過去記事をご参照ください。
https://viva-la-normal-life.com/tax/1894/なお、小規模企業共済とiDeCoは併用ができますので、資金的に可能であれば、小規模企業共済で「月額上限7万」、iDeCoで「月額上限6.8万」を払い込めば、1年間で165.6万円も積立てることができます。

積立開始時期が数年遅くなったとしても、貯蓄の遅れは挽回(?)できますので、独立志向のかたは、iDeCo加入を検討される際には「今、加入すべきか?」どうか、是非、一度お考えになってください。

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