プライベート使用のPC/Macを開業後そのまま事業使用する際の経理方法

減価償却費計算

目次

「プライベート用→事業用or事業私用兼用」のPC/Macは、プライベートで使用していた期間の減価償却費を除く必要あり

フリーランス(個人事業主)として開業前に、開業後の事業に関連して支払ったものは、基本的に、その内容を問わず「開業費」として処理します。

しかし「開業費」に該当しないもの(処理方法が異なるもの)もあります。

・仕入れのための費用
・1つあたりの金額が10万円以上する機械や備品など
・事務所や店舗を借りた際の敷金や礼金

例えば
開業前からプライベートでしばらく使っていたPC/Macを開業後そのまま事業用として使用する
開業準備中に、開業後事業用として使用する目的でPC/Macを購入し使用する
などのケースがあると思いますが、その場合のPC/Macは「開業費」として処理するのではなく「器具備品(固定資産)」として資産計上した上で、数年かけて「減価償却費」として経費として落とします。
その際、プライベートで使用していた期間の減価償却費を除いて、開業後の減価償却費を計算する必要があります

↓「開業費」については、過去記事がございますので、よろしければご覧ください。
https://viva-la-normal-life.com/tax/399/

事業使用前の減価償却費の合計の計算方法

プライベート期間中の経費にならない「減価償却費」の合計額は以下のように計算します。

取得価格 本体価格+郵送代等の付随費用
耐用年数 その資産の通常の耐用年数×1.5(1年未満切捨)
年数 プライベートで購入日から開業日(事業共用日)までの年数(6ヵ月以上切上、6ヵ月未満切捨)
償却方法 旧定額法(通常H19.4/1以後に取得した資産は「定額法」を使用するが、この計算では旧定額法を使う)

※固定資産ごとの耐用年数→コチラ
※耐用年数ごとに償却率→コチラ

(例)
プライベート用として2020年3月に購入したPCを、開業後、事業用として使用することにした。
本体価格(付随費用含む)146,080円、耐用年数4年、購入日2020.3、開業日(事業供用日)2021.6

★計算式
①取得価格 146,080円
②耐用年数 4年×1.5=6年
③購入日からの年数 2020年3月~2021年6月→1年4ヵ月→1年(6ヵ月未満切捨)
④償却方法 旧定額法→②より6年の償却率は「0.166」

★償却費の合計額
146,080円×0.9×0.166×1年=21,824.352→21,824円(切上切捨はどちらでもOK)
※「旧定額法」で計算する場合には、償却率を乗じる前に「0.9」を乗じます

★事業用に転用した時点での未償却残高
146,080円ー21,824円=124,256円

事業使用後の毎年の減価償却費の計算方法

上記の計算により、開業日(事業共用日)時点での未償却残高が計算できました。
この未償却残高を、開業後の各年度において減価償却費として経費に落とします。その計算方法ですが、青色申告をする場合には、下記の3つのパターンが考えられます。

通常の減価償却 法定耐用年数(パソコンの場合4年)で経費にする
※元々、中古で購入した場合には、年数が異なる。
一括償却(10万円以上20万円未満限定) 3年間で1/3ずつ経費にする
少額減価償却(10万円以上30万円未満限定) 開業年度で全額経費にする

開業1年目から利益がでている場合に、税金を少しでも抑えたいのであれば、減価償却費がいちばん多くなる「少額減価償却」を選べばよいでしょう。
ただし「通常の減価償却」「少額減価償却」を適用した資産は、「固定資産税(償却資産税)」の課税対象資産になるため、償却資産税の対象となる資産を多く所有していている場合、複数年度で比較すると、20万未満の固定資産であれば、「一括償却」を選択した方が有利になる可能性もあります。

仕訳の計上方法と固定資産台帳への登録

では、実際に確定申告(会計)ソフトでは、どのような処理をすればよいでしょうか?
具体的には、「仕訳の入力」「固定資産台帳への登録」です。
※例として「マネーフォワード」での登録画面を記載しています。

★仕訳の入力

MF仕訳※開業日時点の「未償却残高」ではなく、「取得価格」で入力します。
※「貸方」の科目は「事業主借」でも別に構いません。

★固定資産台帳への登録

「通常の減価償却」
減価償却※開業年度の減価償却費は月割り(例の場合、12ヶ月分の7ヶ月)で計算されます

「一括償却」
一括償却※開業年度の減価償却費は月数に関係なく、単純に3分の1の金額になります

「少額減価償却」
即時償却※少額減価償却の特例を摘要したことを示すため、摘要欄に「措法28の2」という記載が必要です

開業後も仕事とプライベートで兼用している場合は「事業比率」による按分が必要

ちなみに、開業前からプライベートでしばらく使っていたPC/Macを開業後そのまま事業用として使用してはいるけど、プライベートでもまだ使用している公私兼用状態である場合には、減価償却費を事業分とプライベート分に按分し、事業用部分の金額だけ経費で落とすことができます。

按分する割合は、合理的に説明できる割合であれば大丈夫です(例えば、平日5日は仕事として使用、休日2日はプライベートで使用しているなら、5÷7=71.4%とか)。この割合を固定資産台帳の登録画面の「事業比率」に入力しておけば、ソフト側で必要経費の按分処理はしてくれます!

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