ゴルフ場業界紙の調べによると、2023年現在、全国で営業中のゴルフ場数は、2133コース(1位:千葉県、2位:兵庫県、3位:北海道)。これは、最大であった平成16年と比較すると、9.47%の減少だそうですが、それでも「日本という狭い国土に、そんなにゴルフ場があるのか!」という驚かれる方もいらしゃるのではないでしょうか。
私自身はゴルフをしないので、会計事務所の勤務しはじめ、初めてゴルフ関連の領収証を見たときは「接待ゴルフって本当にするんだ!」と変に感心(?)したこと、そして、決算書に記載されている何百~何千万という「ゴルフ会員権(投資有価証券)」という謎の資産科目、金額の高さに驚いたことを今でも憶えています。
そもそも「ゴルフ会員権」て何?
近年は、ゴルフ会員権を購入してメンバーにならなくても、ビジターとして比較的安くプレーできるゴルフ場が増えていますが、「メンバーになったほうがプレー代が安い」「予約なしでもプレーができるので接待日が設定しやすい」などのメリットがあるのも事実なので、それらを考慮して、ゴルフ会員権(法人会員)の購入を検討される機会があるかもしれません。
そもそもゴルフ会員権を買うというとは、「ゴルフ場という施設をビジターよりも優先的に利用できる権利」を買うとうことです。そして、ゴルフ場の種類を、大きく2つに分類すると「預託金方式」と「株式方式」に分けることができます。
区分 | 概要 |
---|---|
預託金方式(全体の8~9割) | 会員は、ゴルフ場にお金を預ける(預託)ことにより、ゴルフ場施設を優先的に利用できるようになる。退会する際にはゴルフ場に預託金の返還請求をするか、市場で第三者への売却するか、いずれかを検討することになる(いずれが有利かはケースバイケース)。 |
株式方式(全体の1~2割) | 会員は、ゴルフ場の株主としてお金を出資することにより、ゴルフ場施設を優先的に利用できるようになる。株主として出資する形態なので、株主総会で議決権を行使できます。会員権自体には預託金がないため、退会を検討する場合には、通常、市場での売却を検討する。 |
一応、それぞれの概要を上の表にまとめましたが、どちらもゴルフ場を優先的に利用できるという点では変わりはありません。
ただ、前提として、ひとつだけ覚えておいていただきたいのが、ゴルフ会員権を買うことにより、会社のお金は減りますが、ほぼ経費としては落とせません! 「お金が減るなら、その分、税金は減るんでしょ!」というイメージを持たれている方もいらっしいますが、節税効果はありません。
ゴルフ会員権購入時の各種代金の取扱い
ゴルフ会員権の「本体価格」「入会金」「名義書換料」「取扱手数料等」など、購入時にかかるお金は法人税上は「損金算入」できないので、資産(預託金方式⇒ゴルフ会員権、株式方式⇒投資有価証券)に計上します。つまり、経費なりませんので、前述の通り、業績が好調だからと、お金を使って税金を減らそうとする節税目的には使えません。
一方、高額なゴルフ会員権であればあるほど、保有期間中、お金が寝てしまうことになるので、資金繰り的に無理・無駄な出費にならないかどうか、については事前に検討すべきです。
なお、消費税については、ゴルフ会員権の購入先によって、取扱いが異なりまます。
費用 | ゴルフ場から直接取得 | 第三者から購入 |
---|---|---|
会員権本体価格 | 対象外 | 課税 |
入会金 | 課税 | 課税 |
名義書換料 | 課税 | 課税 |
取扱手数料等 | 課税 | 課税 |
募集等によりゴルフ場から直接購入した場合のみ、預託金方式・株式方式いずれの場合も、会員権の本体価格は、課税対象外となりますので、ご注意ください!
ゴルフ会員権保有時の各種代金の取扱い
資産計上したゴルフ会員権、投資有価証券は、減価償却することはできません。
そのため、保有期間中は、購入時に資産計上した金額が、そのまま決算書に載り続けることになります。つまり、購入時と同様、保有中も節税とは無縁の存在です。
内容 | 勘定科目 | 消費税区分 |
---|---|---|
年会費 | 交際費 | 課税 |
プレー代 | 交際費 | 課税 |
飲食代 | 交際費 | 課税 |
ゴルフ場利用税等 | 交際費 | 対象外 |
会費等(年会費、ロッカー代など)については、すべて交際費として処理します(ゴルフ場内での飲食代については「飲食費」に該当しないため、金額基準以下であったとしても「交際費等から除外される飲食費」に当てはまりません※)。
ただし、ゴルフ場利用税、緑化支援金については、消費税対象外となりますので、カードのご利用明細を確認しながら直接データ入力する際や、クラウド会計ソフトを利用していて連動しているデータを登録する際には、あわせて領収書(レシート)等を確認して、適宜明細ごとに消費税の処理を間違えないように気を付けましょう!
※飲食費の金額基準については、下の過去記事をご参照ください。