やつ(住民税)は遅れてやってくる!開業後、納付書が届いて驚かないために知っておきたい住民税の仕組み

住民税サムネ

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所得税と住民税で異なる天引きのタイミング

会社勤めの場合、所得税は毎月の給与・賞与に応じて税額が決まり、その月の給与・賞与から天引きされます。そのため昇給し基本給が増えたり、繁忙期で残業手当が多い月は、天引きされる所得税は増えますし、賞与が支給されればその賞与からも所得税が天引きされます。
所得税の徴収タイミング会社を退職しフリーランス(個人事業主)として開業すると、給与や賞与自体がないので、基本的に収入があってもなくても、翌年の確定申告までは所得税を納税することはありません
※カメラマンさんやライターさんなど一部の職業のかたは、源泉徴収という制度のため、売上代金が入金されるタイミングで所得税が天引きされることがあります。

住民税の徴収タイミング

一方、住民税も毎月の給与から天引きされるため、所得税の同じように毎月の給与に対して税金が決まっていると思われるかもしれません。しかし、住民税は毎月の給与ではなく、前年1年間の所得をもとに税金の金額が決まり、それを今年の6月〜翌年の5月の1年間をかけて総額を12分割した住民税が毎月の給与から天引きされています。つまり税金を分割後払いしているイメージです。

フリーランス(個人事業主)は、いつ、どのタイミングで住民税を納めるの?

会社が住民税を給与等から天引きし、従業員にかわって各市区町村に納付する仕組みを「特別徴収」といいます。会社は4〜5月頃に各市区町村から従業員の6月〜翌年5月までの12月間に給与から天引きすべき住民税が書かれた通知書を受け取り、そこに記載されている住民税を天引きしています
税額決定通知書※この通知書は会社用(特別徴収義務者用)と従業員用(納税義務者用)があり、会社は納税義務者用を各従業員に配布します。※各市区町村によって通知書の書式は異なります。

フリーランス(個人事業主)の場合も前年の収入をもとに、今年の税額が決まるのは同じですが、納めるタイミングと方法が違います。フリーランスは前年の収入を今年の3月15日までに自ら確定申告をしますが、確定申告をするとそのデータが各市町村にまわり、6月前半に住民税が記載された納付書が本人宛に届きます。その納付書に記載された税額を納付期限までに銀行等で納付します。この方法を「普通徴収」といいます。
納付のタイミングは毎月ではなく、6月に一括納付するか、6月、8月、10月、翌年1月の4回払いです。

会社を退職して開業したタイミングで異なる住民税の負担感

では、実際に退職して独立したタイミングの違いで、住民税の納付がどうなるのでしょうか?
【前提条件】給与締日が毎月20日、支給日が当月末日の会社
①3/31に退職し、2021年4月1日に独立するケース
住民税ケース011〜5月末までに退職した場合、基本的には、2019年分の未納付(4、5月の2ヶ月分)の住民税は退職月の給与で一括で天引きされます。つまり最後の給与(3/31)支払い時に未納付分がまとめて天引きされ、2019年分の住民税は納付は完了します。

しかし、本来は2021年6月の給与から天引きされるはずであった2020年分の住民税は、退職により天引きができません。そのため、納付の方法が普通徴収に切り替わり、各市町村から送付される納付書を使って自分で納付することになります。なお、納付のタイミングは一括払いであれば6月末、分割払いであれば、6月末、8月末、10月末、翌年1月末までの合計4回で支払います。

②10/31に退職し、2021年11月1日に独立するケース
住民税ケース026/1〜12/31に退職した場合、2019年分は退職前の2021年5月までに納付完了しています。
2020年分は、基本的には、退職月(10月支給分)までは給与から天引き(会社に依頼して未徴収分を一括で徴収してもらうことも可)され、残りの11月〜5月の7ヶ月分が普通徴収に切り替わり、各市町村から送付される納付書を使って自分で納付することになります。
なお、納付のタイミングは、年度4回の納付期限のうち、6月、8月、10月の3回の納付期限はすでに過ぎているので分割はできず、2021年1月末迄に2020年分の未納付分(11月〜翌5月の7ヶ月分)を一括で支払います。

まずは退職後には自分で住民税を納付する必要があることを忘れないこと!

住民税は、退職前年の収入により決定された税金の後払いなので、いずれの時期に退職したとしても、支払う方法、時期が違うだけで、支払う住民税の総額は同じです。
ただ、独立当初は一時的に、会社員時代より収入が減ることが多いですし、数ヶ月分を1回にまとめて、手元のお金から自分で納付するとなると結構な負担感があります。

とはいえ、退職後に納付書で送られてくる住民税の納税は避けられないので、まず、

退職後に住民税の納税があること自体を意識しておく
5月頃に受け取る通知書を確認して、未納付の住民税がいくらあるのか把握しておく
未納分の住民税額を把握したら、その分のお金は納税用資金として別管理しておく

ことが大切です。また、もし退職時に、退職金や賞与など臨時の収入が見込めるなどお金的に支障がなければ、会社に依頼して最終の給与で未納分を一括で天引きしてもらってしまうのも手です。

(補足)独立後、支払った住民税に節税効果はあるか?

フリーランス(個人事業主)として開業後に支払った国民健康保険や国民年金の保険料は、その支払った金額の分所得が減るので節税効果があります。しかし、残念ながら住民税にはそのような効果はありません(そういった意味では役立たず)。
でも、住民税に限りませんが、税金や保険料の滞納は絶対にダメですよ!
あとで痛い目をあいますから…、実体験あり。
※今、税に携わる仕事をしている身としてお恥ずかしいのですがm(_ _)m

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