個人事業主で一定の業種の場合、源泉源泉税が控除されるけど、その逆は?
独立して事業を行っているフリーランス(個人事業主)のデザイナーさん、カメラマンさん、ライターさんなど一定の職種の方は、請求した売上代金から源泉所得税が差引かれた金額が入金されますよね。
差引かれた源泉所得税は、その報酬を支払った相手方が、フリーランス(個人事業主)の方に代わって税務署に納付をしています。
この相手先が納付した源泉所得税は、フリーランス(個人事業主)の方にとっては、税金の前払いのようなものなので、確定申告時の際に、源泉徴収された所得税の合計額を記載し、税額計算の結果、納税額より源泉徴収された金額のほうが多ければ、その差額が還付されます。
フリーランス(個人事業主)の方の場合、源泉所得税が差引かれる側に回ることが多いと思いますが、その逆で、フリーランス(個人事業主)の方が、お支払いの際に源泉所得税を差引いて、税務署に税金を納付することもあるのでしょうか?
従業員に給与を支払っている場合は「源泉徴収義務者」に該当する
結論としては、あり得ます!
源泉所得税を控除して、税務署に納付する必要がる事業者の方を「源泉徴収義務者」といい、これは法人だけでなく、フリーランス(個人事業主)の方も該当する可能性はあります。
その代表的なケースが、従業員を雇って、給与をお支払いしている場合です。
従業員に給与を支払っている場合は「源泉徴収義務者」に該当するので、給与計算の際に預かるべき源泉所得税を計算し、お支払いする際には給与からその分を差引き、差引いた源泉所得是は、税務署に納付する必要があります。
原則、月末までに支払った給与に係る源泉所得税は、翌月10日が納付期限です。
ちなみに、事前に「納期の特例申請書」を税務署に提出することにより、この納付するタイミングを毎月から、半年に一回に減らすことができます。
給与の支払者でなければ報酬の支払いについては源泉徴収は不要(ある報酬だけは必要だけど…)
給与ではなく、報酬をお支払いする場合はどうなるでしょうか?
ケースとしては、別の個人事業主であるデザイナーさんなどにお仕事を外注して、その料金をお支払いしたり、税理士や弁護士などの士業関係へ報酬をお支払いするなどの場面があり得ます。
このようなケースでも、「源泉徴収義務者」には該当します。
そのため、源泉徴収をすべき報酬に該当するお支払いをする場合には、例え、支払請求書に源泉所得税の控除金額の記載がなかったとしても「源泉徴収義務者」はフリーランス(個人事業主)であるアナタ自身ですので、ご自身で差引くべき源泉所得税を計算し、その税額を差引いてお支払いする必要があります。
ただし、フリーランス(個人事業主)であるアナタ自身が以下に該当する場合は、源泉徴収する必要がないと所得税法で規定されています。
~その報酬・料金等の支払者が個人であって、その個人が給与の支払者でないとき又は給与の支払者であっても常時2人以下の家事使用人のみに対する給与の支払者であるときは、源泉徴収をする必要はありません。
所法204②二
つまり、従業員を雇っていない、例えば、一人でフリーランスとして仕事をしている方であれば、源泉徴収は不要です。
まぁ、仮に請求書に源泉所得税の記載があったため、源泉控除後の金額を相手先に支払い、控除した源泉源泉税を税務署に納付したとしても、帳尻は合うので、問題はないですけどね。
ただ、税務署に納付する手間がかかって面倒だと思いますので、そのような場合には、お相手にご自身が源泉徴収義務者に該当しない旨を連絡のうえ、源泉所得税控除前の金額でお支払いをすればよいでしょう。