出張がある会社なら、事務処理面でも節税面でもメリットがある「出張旅費日当」を使うべし

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労使双方にとって面倒な細々とした実費精算を削減できるのもメリット

「節税」というキーワードは非常に人気がありますが、「節税」が目的になってしまうと、最終的には会社にとって不利益になってしまうケースが多々あります。

出張旅費日当の支給も「節税」の観点で言えば会社からお金がでていく、そしてそのお金が経費になるというキャッシュアウトを伴うものですが、出張旅費日当の支給は、会社側だけでなく、従業員にとってもメリットがあるので、節税という枠を飛び越えて、結構メリットがあるので、まだ、導入していない場合には、検討してみる価値はあると思います。
※実際に下記の調査結果でも分かるように、多くの会社が出張に関し日当を支給しています。

日当の支給状況
・通常の日帰り出張(早朝出発,時間外〈深夜〉帰着を除く)における日当の支給状況をみると,「支給する」が84.2%,「支給しない」が15.2%
・通常の宿泊出張(早朝出発,時間外〈深夜〉帰着を除く)における日当の支給状況についてみると,「支給する」が91.2%,「支給しない」は4.7%であった。

株式会社産労総合研究所「2019年度 国内・海外出張旅費に関する調査」より一部引用

そもそも出張旅費日当とは、出張に伴うこまごまとした支出、例えば、軽い飲食、日用品・雑貨の購入など、細々とした経費が生じた際に、実費で清算するのは労使双方にとって事務負担が増えて面倒なので「日当」という定額の渡切で支給する手当のことです。

出張旅費日当の内訳としては、交通費、宿泊費については、上限を決めたうえで実費精算日当については、役職ごとに定額支給をしている会社が多いです。

支払う側・受取る側双方にとって「日当」はメリットがある

出張旅費日当の支給は、事務処理負担の軽減という点以外にも、手当を支払う会社にとっても、手当を受取る役員・従業員にとってもメリットがあります。

支払う側(会社)のメリット

  • 旅費日当として支払った金額は、経費になる(法人税、住民税等の節税)
  • 消費税区分は課税仕入で処理することができる(消費税の節税)
    ※海外出張日当は課税仕入に該当しません!

受取る側(役員・社員等)のメリット

  • 「給与」として取り扱われないので、所得税や住民税は非課税。
    つまり、普通に給与として上乗せされるより日当としてもらったほうが手取りが増える。

業種によりけりだと思いますが、営業や研修などで出張の機会が多い会社であれば、その分メリットが大きくなります。

例えば、出張が定期的にあり、その回数が多い社長であれば、役員報酬を多少下げても、出張日当を考慮すると、日当分は税金の対象外である分、結果的に手取りは変わらない又は多くできる可能性もあります。

出張旅費日当の支給を検討する際に気を付けておくべきこと

出張旅費日当は便利かつ節税メリットのあるものですが、その分、気を付けておくべきこともあります。

必ず「出張旅費規程」を作成して、その規定通りにきちんと運用すること。

出張旅費規程は就業規則の一部になりますので、就業規則の提出義務がある常時10人以上の労働者を抱える会社の場合には、過半数代表の意見を聞いたうえで、労基署へ届け出て、全従業員へ周知しておく必要があります。

また、就業規則の作成義務がないひとり社長や労働者10人未満の会社であっても、この「出張旅費規程」を作成しておかないと、税務調査があった際に、否認されてしまう可能性がありますので、ご注意ください。

❶目的を規定する
❷摘要範囲を規定(★基本は全員を対象とする)
❸出張の定義(距離)
❹出張中の勤務時間
❺旅費の項目と支給額(交通費、宿泊費、日当)

出張旅費規程では、上記の項目等を設定しておくのですが、出張旅費規程は多くの会社が導入しており、ネットでひな形も拾うことができますので、もし専門家に依頼しないのであれば、それらを参考にしながら、自社の状況に合わせて適宜、内容を修正するとよいでしょう。

日当の金額を定めておくこと

あとは「出張旅費規程」に定める日当の支給額が「いくらが適正な金額なのか?」「いくらまでなら大丈夫なのか?」というのは昔から問題になりますが、なかなかいくらまでなら大丈夫とは断言できないのが難しいところです。

「社会通念上相当と認められる金額」という考え方のもと、その旅行に通常必要とされる費用の支出に充てられると認められる範囲内であれば非課税であるとされていますが、基準が曖昧なだけに、あまり攻めた金額設定にはしないほうが無難でしょう。

個人的には、役員であれば国内旅費日当で5,000円程度なら大丈夫だと思うのですが、前記の『株式会社産労総合研究所「2019年度 国内・海外出張旅費に関する調査」』の結果ですと、国内の宿泊出張の日当は、社長4,598円、取締役3,802円、一般社員2,355円などとなっています。
あと、「国家公務員等の旅費に関する法律」の「別表第一 内国旅行の旅費」にも役職区分ごとの日当が定められていますので、これらの支給額を参考にして金額を設定するといいかもしれません。

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