仕事で使っている預金口座に利息が入金された場合の経理処理

預金利息サムネ

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法人かフリーランス(個人事業主)かにより処理方法が異なる

事業用の口座に預金利息が入金された場合の経理処理は、法人かフリーランス(個人事業主)かにより処理方法が変わってきます。

法人の場合には、以下のように経理処理します。

日付 借方 貸方 摘要
202x年12月31日 普通預金   150 受取利息  177 ●●銀行 預金利息
202x年12月31日 法人税等   27 ●●銀行 預金利息 源泉所得税

銀行から利息計算書が送付されていれば、その計算書に記載された金額通りに入力します。もし、書類がない場合には、入金額から税引前の利息額を逆算すればOKです!
上記の仕訳の場合「150円÷0.84685=177」となります。※1-15.315%(源泉所得税の税率)

一方、フリーランス(個人事業主)の場合は、以下のように経理処理します。

日付 借方 貸方 摘要
202x年12月31日 普通預金   150 事業主借  150 ●●銀行 預金利息      

事業所得の損益計算に影響をさせないように「事業主借」勘定を使って処理します。

なぜ、同じ取引内容なのに、法人とフリーランス(個人事業主)で処理が違うのでしょうか?

個人の場合には所得区分によって課税方法が変わる

それは、税金計算方法の違いによるものです。

法人の場合には、非常にシンプルです。「収入ー経費=利益」となるのは法人税も所得税も一緒ですが、収入が何を理由に発生したかは問わないので、本業による売上も、本業以外による売上も、利息や配当金なども全部まとめて1つの収入になります。
そしてその収入全体から経理を差引いて残った利益(正確には所得)に対して税金を計算します。

一方、フリーランス(個人事業主)の場合は、その収入が何を理由に発生したかに応じて、10つの区分に分類し、それぞれの区分の特性に応じた方法によって税金が計算されます。具体的には、下記のように分類されています。
※例えば、利子所得でも国外支払分は「総合課税」、特定公社債の利子などは「申告分離課税」など、例外もあります。

所得区分
総合課税 事業所得、不動産所得、給与所得、雑所得、譲渡所得(ゴルフ、金、動産等)一時所得
申告分離課税 譲渡所得(土地、建物、株式等)、山林所得、退職所得
源泉分離課税 利子所得、配当所得

そのなかで、預金利息は「利子所得」という区分に分類されます。

この利子所得の課税方法は「源泉分離」といい、支払う人(利息の場合には、銀行)があらかじめ税金を差し引いて、差引後の残金が振り込まれます。
そして差し引かれた税金は、銀行が代わりに納付しているので、知らず知らずのうちに、税金の支払いは完了しています。

そのため、事業所得の経理処理では損益計算に影響させる必要がないのはもちろん、確定申告の際には利息については申告が不要という訳です。

源泉徴収制度と源泉分離課税とはまた別の話

これはちょっと余談になりますが、フリーランスの方で、カメラマンやデザイナーさんなど一定の職種の方は、売上が入金される際に、源泉所得税が控除されて入金されますよね。

この報酬の支払いの際に、支払者が所得税を徴収して国に納付する仕組みは「源泉徴収制度」といって、「源泉分離課税」とはまた別の話です。

源泉徴収制度は、国税を確実に徴収する、徴税コストの削減、国税収入の時期を平準化するためなどを目的として作られたもので、国側の「税金のとりっぱぐれがないように、取れるものは先にとっておこう」という意図がうかがえますが、あくまで「税金をどのように前もって集めるか?」を定めた制度のことです。

そのため、源泉徴収制度により所得税が徴収されていたとしても、その所得区分が事業所得であれば「総合課税」の対象になるため、確定申告で改めて税額を確定させ源泉徴収された所得税を清算することになりますし、利子所得であれば「源泉分離」の対象になるため、徴収された時点ですでに税額が確定し納税も完了しているので確定申告は不要になるというわけです。

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