特定口座のうち90%以上が「源泉徴収あり」を選択しているが…
「株式投資していますか?」
株式、投資信託など投資を始めるためには、まず。証券会社等に口座を開設する必要があります。この口座には「一般口座」と「特定口座」があり、さらに「特定口座」は、証券会社等が税金の計算・徴収までしてくれる「源泉徴収あり」と、損益の計算のみで、税金の計算・徴収はしない「源泉徴収なし」の口座に分かれており、口座開設時にそのいずれかを選択します。
一般口座は自分で損益を計算する必要がある(以前は一般口座にも利点があたったのですが、今はない)ため、現状、大多数が「特定口座」を選ばれていると思いますが、「源泉徴収あり・なし」の選択については、どのような割合になっているのでしょうか。
日本証券業界が公表している2021年6月末時点での調査「証券会社の特定口座数」では特定口座ののうち、90%以上が「源泉徴収あり」です。
その理由としては、少々データが古いですが、2011年の同調査では「確定申告を不要にできる」が断トツで1位の理由でした。
やはり手間が減ることをメリットにとらえる方多いということでしょうか?
しかし、その手間が減るという理由だけで「源泉徴収あり」にするのは、よい選択といえるのでしょうか?
多少の手間がかかっても「確定申告」を通じて税金について知る・考える経験はメリットになるはず
特定口座(源泉徴収あり)の口座を選択すると色々と楽ではあります。
利益がでた場合には、会社が給与計算の際、給与額面から社会保険料、源泉所得税、住民税等を控除してくれるのと同様に、利益に対する所得税等を計算し・控除した残額を入金してくれますし、会社が年末調整をやってくれるため確定申告が不要になるように、利益がでている場合には確定申告まで不要になりますので、確かにメリットはあります。
※確定申告が不要なだけで、特定口座(源泉徴収あり)でも確定申告はできます。
一方で「確定申告を経験しないというのは、税金について考える機会が奪われている」と考えることもできます(国にとってはその方が都合がいいのかもしれませんが…)。
将来的に、独立開業を考えている方であれば、自分で確定申告をしてみることを通して、税金の仕組みを知っておくことは、きっとメリットになるはずです。
例えば、会社員で収入は給与と株式の利益だけであれば、確定申告の際に必要となる資料は
- 会社から発行される「源泉徴収票」
- 証券会社等から発行される「年間取引報告書」
の2つだけ。あとは、国税庁の「確定申告書作成コーナー」を使えば無料で書類は作成できますので、想像しているよりは遥ハードルが低いはずです。
また、特定口座(源泉徴収あり)を選択したとしても、年間の損益ばマイナスになった場合に、そのマイナスを翌年以降に繰越すためには、そのマイナスが生じた年とその後最大3年間は、毎年、確定申告をする必要があります。損益の状況によっては、特定口座(源泉徴収あり)を選ぶ理由のひとつである「確定申告を不要にできる」はそれほどメリットにならないこともあります。
投資戦略からみた源泉控除なしのメリット
投資は、その個人の資産や、投資スタイルが異なります。
ひとつの銘柄を年単位で保有する長期投資のスタイルであれば関係ないかもしれませんが、比較的短期間で売買を繰り返す場合には、利益を確定する度に、利益から税金が控除されるのは、利益を元手に再投資する金額が減ることになりますので、特定口座(源泉徴収なし)のほうが、より多くの利益を投資資金に回すことができます。
ただし、利益を無計画に投資以外に散財してしまうと、いざ確定申告で納税する際に資金不足陥る可能性もありますので、資金管理はしっかりしておく必要はあります。
また、給与・年金所得者で、医療費控除や住宅ローン控除等を受けない方限定でにはなりますが、年間の譲渡所得が20万未満の場合には、確定申告・納税が不要(※住民税の申告は必要)を選べますが、もともと「源泉あり」を選択していた場合には、利益の大小にかかわらず問答無用で税金が控除されるので、損をする可能性があります。
思ったより、利益がでなかったという場合には、1年間が経過した時点で判断できるは投資資金からみたらメリットでしょう。
特定口座の源泉(あり・なし)を変更できるタイミングはいつ?
既に開設している証券会社の特定口座について、翌年の最初の取引日までに、源泉控除あり、なしを変更するためには、だいたい前年の12月後半までに届出が必要です。
なお、年が明けた後でも変更はできますが、「株式等の現物の場合は売却、信用取引の場合は返済・品渡」を一度でもしてしまったら、その年は変更できませんので、ご注意ください。
なお、自分が口座を開設しているSBI証券では
WEB申込の場合、12/27日迄
郵送申込の場合、 12/23日迄
※SBI証券の変更手続きについては → コチラ
その他の証券会社でも12月中になると思われますので、ご自身の状況にあわせて「源泉控除なし」にメリットを感じられたかたは、早めの変更を忘れないようにしてください!