
経営環境の変化が続くなか、「このままでは不安だけれど、何から手をつければよいのかわからない」という声が多く聞かれます。特に、中小企業では「日々の業務に追われるうちに、いつの間にか経営が苦しくなっていた」というケースも珍しくありません。
そうした企業に共通して見られる“気づかぬうちに経営を悪化させる行動”を4つに整理し、それぞれに対して今すぐ取り組める現実的な対処法をまとめました。
❶「過去のやり方に固執してしまう」
ついやってしまう行動❶
以前のやり方が通用しなくなってきているにもかかわらず、「そのうち戻るだろう」と行動を変えずにいるケースは多く見られます。
対処法❶「「何が変わったのか」を定期的に見直す時間を持つこと」
すべてを変える必要はありませんが、「何が変わったのか」を定期的に見直す時間を持つことが重要です。
たとえば、売上上位と下位の商品を比較し、今の顧客ニーズに合っているかどうかをチェックする。現場レベルでできる小さな改善から着手するのが現実的です。
❷「数字を確認せずに「感覚」で経営している」
ついやってしまう行動❷
「売上もあるし、大丈夫だろう」と思っていたら、実際には現金が不足している。そんな事態が起こるのは、「感覚任せの経営」が原因です。
対処法❷「手元の現金の動きを見える化すること」
まずは、手元の現金の動きを簡単に見える化することから始めましょう。
「今月の入金予定」「支払い予定」「残高見込み」を月単位で紙に書き出すだけでも、資金不足を事前に察知できるようになります。
あわせて、商品ごとの粗利もチェックして、利益の出ていない取引がないか見直してみてください。

❸「金融機関との関係が疎遠になっている」
ついやってしまう行動❸
「借入予定がないから」「決算が悪くて訪問しにくいから」と、しばらく金融機関と接点を持たずに過ごしてしまうケースも多くあります。
対処法❸「定期的に、現状の業績及び今後の見通しをまとめた資料を持参又は郵送する」
半年に一度でも構いませんので、簡単な業績メモや今後の見通しをまとめた資料を持参し、訪問または郵送するだけでも印象は変わります。
「今は借入の予定はありませんが、状況をご報告させていただきます」という姿勢を示すことで、いざというときの相談のしやすさが変わってきます。

❹「一人で抱え込んでしまう」
「誰に相談していいのか分からない」「こんな内容を話してもいいのか」と迷っているうちに、判断が遅れてしまうケースも少なくありません。
対処法❹「普段から、信頼できる相談相手とつながっておくこと」
困ったときにだけ相談するのではなく、「うまくいっているとき」から信頼できる相談相手とつながっておくことが重要です。
定期的に状況を共有し、言語化するだけでも頭の整理になります。顧問税理士や経営者仲間など、話せる相手を日頃から確保しておくことで、いざというときの判断力が大きく変わってきます。
