お気に入りの雑誌は年間定期購読がお得だけど…
仕事の情報収集のために、日経ビジネスのようなビジネス雑誌、お仕事をされている業界の専門誌などを定期購読されている方もいらっしゃるでしょう。
定期購読契約は1年分、2年分、3年分などの長い期間で契約する代わりに、1冊あたりの単価が割安になるので、必ずチェックするような雑誌はお金の点で言えば、確かにお得です。
日経ビジネス電子版有料会員
月額プラン 2,500円/月 → 年額プラン 22,500円(1,875円/月あたり)
日経ビジネスHPより
僕は、日経ビジネスは定期的に購読はしていませんが、税務実務の情報誌「週刊税務通信」という雑誌を年間定期購読しています(というか、年間購読契約しかない!)。
この雑誌の定期購読ですが、のお金を支払った際の経理処理については、少しだけ気をつけるポイントがあります。
年間定期購読料は支払った時点では経費にならない
通常、書籍や雑誌を購入した際には、以下のように経理処理をされていると思います。
日付 | 借方 | 貸方 | 摘要 |
---|---|---|---|
2022年3月1日 | 新聞図書費 1,000円 | 現金預金(未払金など)1,000円 | 紀伊国屋書店 雑誌代 |
年間定期購読の代金も、雑誌の購入代金には違いないので、同じように処理したいところでありますが、上記のように経理処理をするのは間違いです。
経理を勉強されたかたであれば「短期前払費用の特例」をご存じで、
「支払った日から1年以内に提供を受けるものなら、支払った時に全額経費に落とせるのでは?」
と思われるかもしれません。
①等質等量のサービスの提供であること
代表的なのは、家賃、地代、保険料、保証料など。税理士等の顧問料などは対象外。
②支払った日から1年以内に提供を受けるもの
例えば2年分を前払した場合、短期(1年以内)の要件に該当しないため、原則通りの処理、つまり、全額「前払費用」に計上する必要があるため、全然節税にならなくなってしまいます。
③継続適用が条件
前期は利益が多くでそうだから年払いして「短期前払費用」を使ったけど、当期はあまり利益がでそうにないから月払に戻して原則通りの処理をしよう、と処理方法をコロコロ変えると、税務署に利益調整を指摘を受ける可能性があります。
④契約の変更が必要
契約で毎月払いとなっているのに、勝手に年払いをしてもダメ。契約自体を年払いに変更する必要あります。
ただ、「短期前払費用の特例」が使えるのは、上記の要件を満たしている場合の支払いに限られていて、雑誌の定期購読料はサービスの提供には該当しない(単なる購入代金の前払い)ため、「短期前払費用の特例」が使えないのです。
年間定期購読料は支払い時、雑誌発行時の経理処理方法
それでは、雑誌の定期購読料は、どのように経理処理すればよいでしょうか?
年間定期購読料を支払った際の経理処理
日付 | 借方 | 貸方 | 摘要 |
---|---|---|---|
2022年3月1日 | 前渡金 22,500円 | 現金預金 22,500円 | 日経ビジネス 年間購読料 |
年間購読料を銀行振込などで支払った際には、「前渡金※」という資産の科目で処理します。
※「まえわたしきん」又は「ぜんときん」と読みますが、別に呼び方はどうでもいいです。
つまり、年間購読料を支払った段階では、「雑誌」というモノ(又はデータ)を受取っておらず、単にお金を前払いしただけの状態なので、経費に落とせないのです。
雑誌が発行された際の経理処理
日付 | 借方 | 貸方 | 摘要 |
---|---|---|---|
2022年3月31日 | 新聞図書費 1,875円 | 前渡金 1,875円 | 日経ビジネス 既刊分振替 |
そして、実際に、その書籍を受取った(データ配信がされた)時点で、その年間定期購読料のうち、既刊分を経費に振替ます。上記の処理を忘れて「前渡金」のままにしていると経費の計上モレになってもったいないので、決算の際には、必ず、振り替えをし忘れていないか確認しましょう!