確定申告の売上を「支払調書」使って計上するのは止めた方がいい理由

支払調書サムネ

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そもそも会社は支払調書を発行する義務がない

フリーランス(個人事業主)で、1月末頃に取引先の会社から送られてくる「支払調書」を元に、売上を計上して、確定申告をしている方がいらっしゃるかもしれません。

支払調書から仕訳

「支払調書」というのは、会社が個人との取引に係る報酬を支払った場合に、その年間に支払った報酬と、その報酬から差引いた源泉所得税の合計額を集計した書類です。会社は、その作成した書類を翌年1月31日までに、税務署へ提出する義務があります。

支払調書の提出流れ

税務署は、会社から「支払調書」が提出されていれば、フリーランスの方が提出した「確定申告書」に計上されている売上が正しいかどうかチェックがしやすくなります。
(作成する会社にとっては負担増で益なし、税務署に対してサービスで作成してあげてるようなものです…。)

一方で、この「支払調書」、フリーランス(個人事業主)の方々に対しては、発行する義務はないんです。

現に、あの大企業のアマゾンは2013年分から、支払調書の送付をやめているくらいですから、いまは郵送してくれている取引先の会社だって、いつ、支払調書の発行をやめるかわかりません。

売上管理を支払調書に頼っていると、確定申告書の作成に手間取ってしまうことになります。

支払調書に記載されている金額が正しいとは限らない

あと、そもそもですが、「支払調書」に記載された金額が必ずしも正しいとは限りません

一応、法律上、記載方法は決まっていますので、どの会社(会計事務所が作成しているケースも多い)が発行している支払調書も正しく記載はされている可能性は大ですが、これも発行会社の慣習等の理由で、例えば以下のようなケースがあります。

集計期間によるズレ

ケース1 1~12月中に発生した報酬と源泉所得税を記載している 支払調書40万
ケース2 1~12月中に実際に支払った報酬と源泉所得税を記載している 支払調書30万

集計方法としてはケース1のほうが正しいのですが、会社によっては、ケース2で集計している場合もあります。ケース2は12月分の報酬が集計されていません。
もし、その支払調書をもとに確定申告をしてしまうと、12月分の売上モレてしまいます。

また、そのような集計期間のズレがなかったとしても、集計された金額自体が間違っている可能性だってゼロではありません。

それらの「支払調書」を元に誤った申告をしてしまっても、その責任は支払調書を発行した会社ではなく、申告をした自分自身です。

やはり自分自身の事業に関することは、他人任せにしないで、自分で処理すべきです。

経営状態を把握するためにも「支払調書」任せの経理はしない

そもそもですが、支払調書がないと確定申告ができない、という状態にあるということは、確定申告間際に、申告のためだけに、経理処理をしているということになります。

もちろん、どんぶり勘定では把握しているでしょうが、事業を長期間継続していくため、自身の経営状態を把握するためにも、日々、最低でも毎月ごとに経理処理はするべきです。

べつに「支払調書」がなくても、自身が請け負った仕事については、自ら相手の会社に「請求書」を発行しているはずです(業界の慣習で、取引先の会社から「支払案内書」が発行される場合もあるでしょう)。

その発行した「請求書」、又は受領した「支払案内書」等をもとに、それぞれの月で売上を計上していけばいいだけです。

いままで「支払調書」をもとに確定申告をされていた方は、今年は、是非「支払調書」はシカトして確定申告を乗り切ってください(届いた「支払調書」はちらっと中身を確認後、捨ててしまえばいいんです)!

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