若いうちは「医療費控除」の恩恵を受けるハードルは高いけど…
「医療費控除」って制度があること自体は知ってても、なんとなく「税金が減るやつでしょ?」程度で、若いうちは特に興味がないかもしれません。
「医療費控除」は所得控除のひとつで、税金を減らす効果は確かにあるのですが、その対象となる金額の計算式が下記の通りになっていて結構ハードルが高いです(泣)
【計算式】
「1年間に支払った医療費ー10万円※=医療費控除金額」
※10万円もしくは総所得金額×5%のうち低い金額
基本的に、医療費が10万円を超えて初めて所得控除金額が発生するので、年間でそこまで病院や薬局のお世話にならない若年層にとっては結構な金額で、実際にはあまり超えることがないかもしれません。
ただ、近年はコロナのこともありますし、事故や急病、その他、人生何があるかわかりません。「もしも」の際に確定申告であたふたしないように、毎年、準備だけはしておきたいものです。
医療費控除のキーワードは、ずばり「治療」!
そもそもどんな費用が「医療費控除」の対象になるのでしょうか?
基本的には皆さんが想像するような、通院や入院でかかった費用、薬局での薬の購入代金などで間違いなのですが、それら以外にも結構対象範囲が広く、広いがゆえに、対象になるもの、対象にならないもの判断に迷うものもあります(このテーマだけで毎年、本が出版されるくらいですから)。
「保険適用外(自由診療)」でも治療のためなら高額でも対象になったり、海外旅行中に現地のお医者さんに支払った医療費も対象になったり、通院のため公共機関を使った場合の交通費対象だけど、タクシー料金や駐車料金は対象にならなかったり。
ただ、ざっくりですが判断基準になるキーワードをあげると、それは「治療」のためかどうかです。具体的には下記のように規定されています。
①医師等による診療や治療のために支払った費用
②治療や医療に必要な医療品の購入費用
コロナ関連の費用で対象になるもの? ならないもの?
近年はコロナ関連で、予防のマスクを購入したり、仕事の関係上、必要に迫られPCR検査を受けたり、コロナ以前には想定しなかった想定外の出費がありますが、これらの費用は対象になるのでしょうか?
残念ながら、マスクやPCR検査費用は、基本的には対象外です。
理由は上記のキーワード「治療」のための費用ではないからです。あくまで「予防」のための出費ですからね。
ただ、PCR検査費用については、お医者さんの指示で受けたもの、自分の判断で受けた結果「陽性」で引き続き治療を行った場合には、「治療」の前段階の診察に該当するため自己負担分については対象にります。
なにはともあれ、病院・薬局で受け取った領収書・レシートを1年間取っておくべし
医療費控除を受けるためには、なにはともあれ領収書が必要になります。
この領収書を元に「医療費控除の明細書」を作成して、確定申告書と一緒に税務署に提出します。
平成29年度の法律の改正で、上記の明細書を確定申告書に添付し、領収書自体は添付が不要になりましたが、領収書自体を捨ててしまっていいというわけではありません。申告期限から5年間は自宅にとっておかないといけないので注意が必要です。
協会けんぽや健康保険組合から送付される「医療費通知(医療費のお知らせ)」を使って確定申告をする場合には、領収書の保存は不要になりますが、この通知書には、(医療費控除の対象にはなる可能性がある)自由診療分の支払金額は記載されていないので、医療費通知だけを使って申告をすると集計モレになる可能性があります。
やはり現状は、領収書をとっておくのがベストです。
普段から、買物をしたときにレシートを受け取る習慣がない方、家計簿などをつけていない方は「どうせ10万円なんて超えないし必要なし!」と捨ててしまっているかもしれませんが、1年ごとに、とりあえず医療費関係の領収書はまとめて封筒にいれておけばいいだけですので、とりあえず「医療費に該当しそうな(実際に該当するかしないかは後で調べればOK!)領収書・レシートを1年間取っておく」ようにしてくださいね。
毎年12月31日が経過してみて、10万円を超えていなければ、そのときは、1年間そこそこ健康で過ごせたことを感謝しつつ、その封筒をポイ捨てすればいいだけなので(笑)!