中小企業が融資の成功確率を高めるためには、伝えるべきこと2点
2024年4月に改正された金融庁の「中小・地域金融機関向けの総合的な監督指針」※の影響で、金融機関の融資スタンスが変わったのが一因となっているのか、今までなら通っていたはずの融資案件が、たいへん通りにくくなっています。
金融機関の融資スタンスが変わったのですから、これまでと同じ申込み方法では金融機関はなかなか首を縦に振ってくれません。とくに以前より業績や財務内容が悪化している企業に対して、厳しい傾向が強くなっています。
そのような状況下で、中小企業が金融機関から新規に又は継続的に融資を受けるためには、申し込みの方法を変える必要があります。具体的には、以下の2点です!
- 「資金使途」「返済資源」「融資効果」を明確に伝える
- 資金調達の最大の目的が(資金繰りではなく)「経営改善である」と伝える
担当者が作成する融資稟議書の重要項目を詳しく
金融機関が融資を行うとき、担当者は「融資稟議書」を作成します。この融資稟議書の出来ばえ次第で、融資の可否が大きく変わります。彼らが融資稟議書に書く項目は、以下の8項目です。
- 融資金額
- 貸出利率
- 実行予定日
- 貸出期間
- 保全
- 資金使途
- 返済資源
- 融資効果
この中で融資審査に大きく影響を与えるのが、先述の8項目のうち「資金使途」「返済資源」「融資効果」の3点です。
「可決される融資稟議書」を担当者が作成しやすくなるよう、事業者側から「資金使途」「返済資源」「融資効果」に関する情報を、できるだけ詳細に、具体的に伝えましょう。
経営改善につながる融資なら金融機関は前向きに取り組める
前述の、金融庁による「中小・地域金融機関向けの総合的な監督指針」にて、「融資する際は、それが経営改善に資するかどうかを考慮すること」とされたため、金融機関は安易な融資を避けるようになりました。
つまり、単に「資金繰りが厳しいので運転資金を借りたい」という「資金使途」では、金融機関は融資に取り組みづらくなったのです。
だからこそ融資申込みの際は、「今回の資金を借りて○○を行うことで、経営改善につなげます」という一言を伝えることで、金融機関は融資に前向きに取り組みやすくなります。
金融機関にも「貸しやすい融資」と「貸しにくい融資」がある
同じような業種・年商・財務内容の中小企業2社のうち、片方はスムーズに融資をしてもらうことができているのに、もう一方は融資してもらえないケースはよくあります。
理由のひとつが、その案件が「貸しやすい融資」か「貸しにくい融資」か。
「資金繰りが厳しいので運転資金を借りたい」では「貸しにくい融資案件」、
「経営改善を行いたいのでその資金を借りたい」なら「貸しやすい融資案件」です。
たとえ借りた資金の使い途が同じでも(例:売上向上のための販促費など)、申し込み時の文言ひとつで金融機関の取り組み方に違いが出てきます。