賃上げ促進税制の上乗せ要件(女性活躍・子育て支援)「くるみん認定」「えるぼし認定」て何?

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くるみん・えるぼし認定により賃上げ促進税制の控除率5%アップ

先日、賃上げ促進税制に関する記事をアップさせていただきました。

これは、従業員へ支給した給与・賞与の総額を前期と当期で比較して、当期の支給額が一定の割合増加した場合に、当期と前期の支給額の差額の15%相当を法人税額から控除できるただし、法人税額の20%相当が上限)という制度ですが、この控除率を上乗せできる(つまり、控除率が上がる)措置がいくつか用意されています。

そのうちの一つが「くるみん認定」又は「えるぼし認定」を受けることです。

賃上げ要件基本控除率教育訓練費女性活躍
子育て支援
合計控除率
最大45%
+1.5%15%
+10%

+5%
30%
+2.5%30%45%
中小企業向けの基本控除率と上乗せ措置

この「くるみん認定」又は「えるぼし認定」を受けることにより、控除率が5%相当加算されます。正直、税額控除のために認定を目指すのは、あまり現実的ではありませんが、今後の、企業戦略として認定を目指すのはプラスなはずです。

そんな訳で、今回は「くるみん認定」と「えるぼし認定」の概要について、ご説明させていただきます。ちなみに今回ご説明さぜていただく「くるみん」「えるぼし」の他にも、認定制度はありますので、下記の一覧をご参照ください!

くるみん認定の概要(次世代育成支援対策推進法)

次世代育成支援対策推進法(次世代法)という時限立法(令和17年3月31日まで)により、常時雇用する労働者が101人以上の企業は、労働者の仕事と子育てに関する「一般事業主行動計画」を提出する義務があります(100人以下の企業は努力義務)。

この一般事業主行動計画の届出をし、認定基準を満たした企業は、申請することにより、厚生労働大臣の認定(くるみん)、特例認定(プラチナくるみん)を受けることができます。
※2022年改正により、不妊治療と仕事の両立に係るプラス認定(くるみんプラス)も創設されています。

「くるみん」の主な認定基準
❶雇用環境の整備に関し、行動計画策定指針に照らし適切な行動計画を作成したこと
❷策定した行動計画の計画期間が、2年以上5年以下であること
❸策定した行動計画を実施し、当該行動計画に定めた目標を達成したこと
❹策定した行動計画について、適切に公表及び労働者への周知をしたこと
❺次のa.又はb.のいづれかを満たしていること
a.行動計画における、男性労働者の育児休業等取得率が30%以上であり、当該割合を厚生労働省のウェブサイト「両立支援ひろば」で公表していること
b.計画期間における、男性労働者の育児休業等取得率及び企業独自の育児を目的とした休暇制度利用率が、合わせて50%以上であり、当該割合を厚生労働省のウェブサイト「両立支援のひろば」で公表していること、かつ、育児休業等を取得した者が1人以上いること


★制度の詳細については、厚生労働省HPをご覧ください ⇒ コチラ

えるぼし認定の概要(女性活躍推進法 )

女性活躍推進法という時限立法(令和8年3月31日まで)により、常時雇用する労働者が101人以上の企業(2022改正で301人から101人へ)は、計画期間、女性の職業生活における活躍の推進に関する取組により達成しようとする目標、取込の内容、実施時期を記載した「一般事業主行動計画」を提出する義務があります(100人以下の企業は努力義務)。

この一般事業主行動計画の届出をし、認定基準を満たした企業は、申請することにより、厚生労働大臣の認定(えるぼし1~3段階)を受けることができます。、なお、プラチナえるぼしは、既にえるぼし認定を受けた事業者のうち、一定の要件を満たした場合に認定を受けることができます。

「えるぼし 2段階目(2つ星)」の主な認定基準
❶事業主行動計画策定指針に即して適切な行動計画を定めたこと
❷策定した行動計画について、適切に労働者への周知及び外部公表をしたこと
❸次のいづれにも該当しないこと
a.認定取消又は自体の日から3年を経過していないこと
b.職業安定法の規定により、公共職業安定所等が求人の申込みを受理しないことができる場合に該当すること
c.女性活躍推進法及び女性活躍推進法に基づく命令その他関係法令に違反する重大な事実があること

❹「女性の職業生活における活躍の状況に関する実績に係る基準」のうち3つ又は4つの項目を満たし、その実績を「女性の活躍推進企業データベース」に公表していること
また、基準を満たさない項目については、事業主行動計画策定指針に定められた取組の中から当該項目に関連するものを実施し、その取組状況について「女性の活躍推進企業データベース」に公表するとともに、2年以上連続してその実績が改善していること

★制度の詳細については、厚生労働省HPをご覧ください ⇒ コチラ

上乗せ要件を満たすか否かは「いつ認定を受けたか?」で判定

くるみん認定・えるぼし認定は、その認定を受けること自体、厳しい基準が設けられていますが、賃上げ促進税制の上乗せ要件を満たすためには、認定を受けることに加えて「いつ認定を受けたか?」も重要です。具体的には、以下の❶又は❷の要件を満たす必要があります。

【適用要件】
❶適用事業年度に「くるみん認定」「くるみんプラス認定」「えるぼし認定(2段階以上)」を取得した
❷適用事業年度終了の時に「プラチナくるみん認定」「プラチナくるみんプラス認定」「プラチナえるぼし認定」を取得している

【くるみん・プラチナくるみん認定の適用判定の例】

【えるぼし・プラチナえるぼし認定の適用判定の例】

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