上場を目指すなら、代表取締役を名乗りたいなら株式会社「一択」
法人設立を考えたときに、決めなければいけないことの一つに法人形態があります。法人には、株式会社、合同会社、合名会社、合資会社など様々な形態がありますが、実質的には、株式会社か合同会社のいずれかになるでしょう。株式会社か、合同会社のどっちがいい、と一概には言えないのですが、選択の余地なく、株式会社「一択」のケースがあります。
まず「会社を立ち上げて上場を目指す!」という強い想い・志しがある場合です。合同会社は株式ではないので(=出資なので)、株式公開を目的・目標のひとつにしているのであれば、株式会社を選択するしかありません。
あと、ご本人が「代表取締役」と名乗りたいのであれば、これまた株式会社を選ぶしかありません。合同会社の場合は、取締役ではなく「代表社員」と呼びます。気にしない方にしたらそんなの重要か?と思われるかもしれませんが、それがモチベーションになる方もいるので、「代表取締役」という名称へのこだわりも、株式会社を選択する立派な理由になるのではないでしょうか?
社会的信用・認知度はやはり「株式会社」に分がある
ひと昔前までは、「合同会社」と聞くと「なにそれ?」程度の認知度でしたが、いまは名前を聴いたことがあるような企業も意外と「合同会社」だったりします。しかし、それは、その企業自体にネームバリューがあるからで、認知度という点では、まだまだ「株式会社」に軍配があがります。
次の項で論点に挙げている費用面での問題もありますが、会社は自社だけでは何もできません。売上先、仕入先をはじめ、様々な取引先があって、会社が回っていくものです。ご自身の都合も大切ではありますが、対外的な「認知度」や「社会的信用」の影響も意識しておきましょう。
想定される取引先の動向、銀行融資の計画などを踏まえて、「合同会社」では避けられてしまう懸念がありそうであれば、最初から株式会社を選択したほうが無難です。
設立時の費用では「合同会社」に分がある
では、なぜ合同会社を選択する企業が一定数あるのか?
その一番に理由は、やはり設立費用が、株式会社より安く抑えられる点があります。
株式会社 | 同号会社 | |
---|---|---|
電子定款認証 | 50,000円※ ※資本金100万未満 →30,000円 資本金100万以上300万未満→40,000円 | 不要 |
謄本手数料 | 2,000円 | 不要 |
登録免許税 | 150,000円 | 60,000円 |
役員の任期 | 最長10年 | 任期なし |
上記の一覧のように、合同会社の設立は、株式会社と比較すると安いです。
会社設立当初は何かとお金がかかるものなので、取引先との関係について、個人事業主だと支障があるが、法人であれば、株式・合同の法人種別が問題にならないのであれば、設立費用が安くすむ「合同会社」を選択するメリットがあります。
あと、維持費とまで大袈裟なものではありませんが、株式会社の場合、役員の任期は最長で10年と決められています。
10年が経過するごとに、役員の重任登記をする必要があり、その際に登記の費用(プラス専門家に依頼すれば報酬)が必要です。この重任の登記を忘れていると、後々罰金が課せられてしまうこともあります。
一方、合同会社の社員には任期がないため、重任登記云々の話はありません。10年に一回なので、たいした問題ではないかもしれませんが、一応、維持費用・手間は合同会社の方が楽ではあります。