多くの中小企業で、採用よりも定着に悩む声が増えています。
離職は突然起こるように見えますが、その前には小さなストレスや不安が積み重なっています。
今回は、社長が実践することで効果が出やすく、今日からでも始められる五つの方法を紹介します。
今月の優先順位を一つ決め、社内に示す
離職の背景には、仕事の優先順位が分からず、日々の判断に迷いが生じることによるストレスがあります。
そこで、今月の最優先事項を一つだけ明確に示すと、社員は迷わず動けるようになり、不安や負担が大幅に減ります。営業なら既存客フォロー、現場なら安全確認、事務なら書類の当日処理など、部門ごとに一つに絞るだけで効果があります。
社内の禁止ルールを三つだけ決め、毎朝共有する
職場のトラブルや報告遅れは、ルールが曖昧なまま進むことが原因になることがあります。
禁止事項を三つに絞って決めると、社員が迷わず動けるようになり、余計な衝突やストレスが減ります。例えば、人の悪口は言わない、分からないまま作業を続けない、期限が難しいときは必ず事前に相談する、という三点を毎朝共有するだけでも、職場の空気が安定します。
社長が毎日一人に、名前を呼んで一言声をかける
離職の要因として多いのが、自分の働きが見られていないと感じることによる不安です。
名前を呼んで一言伝えるだけでも、社員は仕事が認められていると感じ、安心して働けるようになります。
たとえば、「田中さん、昨日の対応は助かりました」という一言でも、承認の効果は十分にあります。
困っている社員の話を、一分だけ聞く時間をつくる
離職につながる多くの問題は、誰にも相談できずに不安を抱え続けることで大きくなります。
長い面談は不要ですが、一分だけでも話を聞く時間をつくると、社員は気持ちが軽くなり、離職につながる悩みの芽を早い段階で解消できます。
結論を急がず、まず話を聞く姿勢を示すことが重要です。
毎週一つ、小さな改善を実行し、社内で共有する
どうせ言っても変わらないという空気は、離職の大きな原因になります。
そこで、毎週一つでも改善を実行し、社内で共有すると、会社が前に進んでいる実感が社員に伝わります。
棚の整理や会議の短縮、備品の配置の統一など、小さなことでも継続することが離職防止に効果的です。
離職を防ぐには、制度を大きく変えるよりも、日々の小さな取り組みが大きな効果を生みます。今回の五つはどれも今日から始められる内容ですので、まず一つ取り入れるだけでも職場の雰囲気が変わります。